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SEA SPICAシースピカ乗船記【瀬戸内クルーズ】

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2021年7月2日に観光型高速クルーザーSEA SPICA(シースピカ)西向きコースに乗船しました。

この記事では,シースピカの概要実際に乗船した様子をお届けします。

  • 広島旅行のプランを考えている方
  • シースピカに乗ってみようか迷っている方

などの参考になれば幸いです。

SEA SPICA(シースピカ)とは

シースピカは,JR西日本グループと瀬戸内海汽船グループが「せとうち パレットプロジェクト←記事最後に関連リンクはまとめて再掲します!の一環として共同導入した観光型高速クルーザーです。

「瀬戸内しまたびライン」と呼ばれる広島港と三原港を結ぶルートで運行されています。

瀬戸内しまたびラインのルート

http://setonaikaikisen.co.jp/simatabi/

運行日程や時間については瀬戸内しまたびラインのHPでご確認ください。

船体について

白と濃青,そして瀬戸内の夕焼けをイメージした金色のアクセントがよく映える船体です。

船体

船体には次のような特徴があります[1][2][3]。

船体のPOINT
  • 双胴船・・・安定する→快適性UP、甲板が広くとれる→客室スペースUP
    ※二つの胴体を離して配置,甲板で繋いだ船(下の写真参照)
  • 水中翼・・・抵抗軽減→効率運行
  • アルミ合金・・・軽い→速度UP、燃費GOOD
船体
二つの胴体の間に水中翼が前後に2枚ついています

スペックは以下のとおり。

シースピカのスペック

製造元は尾道市の造船会社 瀬戸内クラフト。生粋の瀬戸内の船です。

内装・外装デザインは株式会社イチバンセンの川西康之氏と興津みなみ氏。

川西康之さんは,

  • 駅舎(土佐くろしお鉄道中村駅,JR枕崎駅)
  • 列車車両(えちごトキめきリゾート雪月花,WEST EXPRESS 銀河)

などを手がけられており,高い評価を得ているデザイナーです。このシースピカも豊かな旅の体験を提供してくれる船となっていることでしょう。

座席やインテリアデザインについては,瀬戸内海汽船のページが詳しいです。

そんなシースピカ。運行開始以来,さまざまな賞も受賞しており期待がふくらみます!

シースピカの受賞歴
  • 2020年度グッドデザイン賞・ベスト100/グッドフォーカス賞[地域社会デザイン](日本デザイン振興会)
  • シップ・オブ・ザ・イヤー2020 小型客船部門(日本船舶海洋工学会)

設備・船内販売

設備

フリーWi-Fi

1日30分×8回までのフリーWi-Fiが使えます。

コンセント

壁際にはコンセントが設置されています。通路側や中央部分の座席にはコンセントはないように見えました。

コンセント

全面展望・地図表示ディスプレイ

1F座席前方のディスプレイには現在地を表示する地図と全面展望が表示されています。

ディスプレイ

バリアフリー客席・トイレ,昇降機

シースピカにはバリアフリーの座席,トイレが準備されています。また2Fデッキ「スピカテラス」へのぼる階段には昇降機が設置されています。

船内販売

お菓子,飲み物(ソフトドリンク・アルコール),オリジナルグッズなどが販売されています。

販売しているものについてはメモを忘れてしまいましたが(汗),やぶさこまちさんのブログ記事「SEA SPICA に乗ってきました②」などで紹介されていますね。
※メニューは変更になっている可能性があります

道中の様子:立ち寄り地・みどころ

わたしは「西向き」コース,三原→グランドプリンスホテル広島までの区間を乗船しました。

この日は瀬戸田港での乗船者や呉港での下船者がいなかったため,このふたつの港には立ち寄りませんでした。こういったことがあるのも列車やバスではない,船旅ならではです。

三原港出発まで

三原港は,JR三原駅から南に徒歩で約5分。駅から向かう場合は,駅南口を出ると案内看板もあるので迷わずに到着できるでしょう。

三原港では,12:45頃から受付が始まります。あらかじめネットで予約をしていた名前を窓口で告げて,指定座席が記された用紙をもらいます。

seatmap

全席指定席の船ですが,少なくともネット予約の場合は座席指定はできないようでした。

「友達と一緒に行くが別々に予約をしている」など事情がある方は,あらかじめ電話などで相談をした方が良いかもしれません。

13:10すぎごろにお待ちかねのシースピカが入港。往路東回りの乗客を降ろし,船内の準備が整い次第,乗船となります。

シースピカ乗船口

出港後の様子

出港後は,船の紹介や注意事項に関する動画が流れます。

そのあとは……,下船までガイドさんのターン。けっこう喋ります

島のこと,橋のこと,文化・産業そのほか色々。バスガイドさんみたいなイメージですね。瀬戸内は目に入るものひとつひとつに歴史があり,由来があり,面白さがあります。

そういったことを丁寧に解説してくださり,なかなか興味深いものでした。

ただ「瀬戸内を感じる」というのも良いですが,こういった解説があるとより深く瀬戸内を知ることができますね。

そんな中,船は運航を続けます。

スマホアプリで計測したところ,ほぼ最高出力の43km/h近いスピードを出している場面もありました(潮の流れや風向きの影響もあるかもしれません)。

スピカテラス船尾側
2Fスピカテラス船尾側

これだけのスピードを出していても,歩けないほど揺れることはありません。瀬戸内海はもともと波が穏やかということもありますが,双胴船の効果もあるのでしょう。

座席にはシートベルトはなく,船内は自由に歩き回れます。わたしは,基本,2階のスピカテラスでまったりとしていました。

スピカテラス
2Fスピカテラス。前面のモニタには現在地が表示

大久野島(上陸:30分間)

大久野島(おおくのしま)は,最近は「うさぎ島」などと呼ばれ,900匹以上の野生のうさぎを見て・触れられることで人気です。

うさぎ

島内では,ガイドさんなどによる案内はなく自由散策となります(このあと上陸する大崎下島も同様です)。

30分とそれほど長くない滞在のため,近くを散策したりうさぎと戯れたりして過ごすのが良いでしょう。

ちなみに,シースピカは桟橋1番に停船します(朝夕を除くほとんどの船は桟橋2番を利用しています)。

大久野島乗船場

なお,大久野島は戦争遺構としても非常に興味深い島となっています。

要塞→毒ガス工場→米軍施設と変遷をとげてきた歴史については,シースピカが停船する桟橋1番の近くの毒ガス資料館で詳しく知ることができます。うさぎとの戯れに興味がない方などはこちらに行ってみても良いかもしれません。

個人的には大久野島は30分といわずに
 ・うさぎが腹をすかせている午前の早い時間にキャベツひと玉もって島にわたり,
 ・休暇村でレンタサイクルを借りて,
 ・島内をの自然や遺構を巡りつつうさぎと戯れる。
 ・そして,毒ガス資料館で歴史を学ぶ。
という感じの半日コースがおススメだったりします。

大崎下島 御手洗地区(上陸:60分間)

桟橋

御手洗(みたらい)は海運の拠点「風待ち・潮待ちの港町」として江戸時代頃より発展してきた地区です。

瀬戸内海といえば「穏やかな海」というイメージを持つ方も多いでしょうが,潮の流れは非常に複雑かつダイナミックです。これは,「太平洋などの外海との接点が限られている」ことや「多数の島があるなどの複雑な地形」に由来しています。

昔は潮の流れや風の向きが船の運行には重要でした。「運行に適した潮や風を待つ場所」の一つが,ここ御手洗だったわけです。ほかに同様の役割を果たしていた場所で有名どころとしては,広島県福山市の”鞆の浦”などがあります。

明治以降は陸運の発達により徐々に役割は薄くなっていきましたが,御手洗には今でも江戸から近代の面影を残す建物群などが保存されています。

御手洗の町並み

また,拠点の町だったということもあり,シーボルト,坂本龍馬,吉田松陰などさまざまな歴史上の偉人も訪れた町となっています。

伝説か史実かは置いといて「神功皇后が朝鮮半島へ出兵する際に立ち寄った」「菅原道真が太宰府へ左遷される際に立ち寄った」などの言い伝えもあるようです。

そんな御手洗,建物などを見学しながらぶらぶらと散策をしていると1時間くらいは無理なく過ぎてしまいます。

越智医院跡
大正時代の洋館(越智医院)。今はゲストハウスとして使われているらしい。

瀬戸内パレットプロジェクトのページでは,”歴史の見える丘公園”も紹介されていますが,御手洗の町並みと,歴史の見える丘公園を両方楽しむというのは1時間ではまず難しいでしょう。

公園からの多島美も捨てがたいですが,はじめて御手洗を訪れる方はじっくりと街並みを散策して雰囲気を感じることをおススメします。

音戸の瀬戸(船上)

音戸の瀬戸(おんどのせと)は,倉橋島と本州の間の海路です。景勝地として知られています。

瀬戸内というのは海路ひとつとっても歴史的にいろいろおもしろいことがあるのですよね。詳しく知りたい方はWikipediaをご確認ください ←投げたw

音戸の瀬戸

海上自衛隊呉基地 艦船遊覧(船上)

呉といえば軍港というイメージを持つ方も多いでしょう。

現在でも海上自衛隊呉基地があり,さまざまな艦船が停泊しています。呉基地に近づくとシースピカは速度を落として,ゆっくりと艦船に近づいて,周囲をまわってくれます。

艦船

実際に見る艦船は写真では伝わらないくらい大迫力。これはぜひシースピカに乗って,体験してほしいです。

また,ガイドさんによる簡単な船の解説がついているので,艦船に詳しくない方でも楽しめます。

呉を過ぎると,あとは広島へ。

定刻より約10分早い17:40分ごろにグランドプリンスホテル広島の桟橋へ到着し,わたしは下船しました。

感想:写真や動画では伝わらない魅力がある!

そんなこんなでシースピカでの瀬戸内クルーズを終えました。

ひとことで感想をいうと,とても良い体験になりました。

40km/hものスピートで風を感じながら瀬戸内海を疾走するという体験はなかなかできるものではありません。

実際に目で見て肌で感じる瀬戸内海は,こんな拙稿や写真・動画では伝えきれません。この記事は,魅力の1/100も伝わっていないと思います。

ぜひ,あなたにも一度体験をしてほしいものです。

なお,立ち寄り地での観光は「これくらいで満足」という方と「もうちょっと見てみたい」という方に分かれると思います。でもそれは,どんなツアーでも同じ性(さが)。

これで瀬戸内の島々に興味を持ったら,次回の広島旅行の楽しみとすれば良いのです。何も「一度しか来てはいけない」ということではありませんからね!

ぜひ,広島観光を考える際は高速クルーズ船SEA SPICAをご検討ください!

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出典

[1]コトバンク双胴船, https://kotobank.jp/word/双胴船-89610 (2021.7.5閲覧)

[2]瀬戸内海汽船, シースピカ建造報告。瀬戸内クラフト様訪問, http://setonaikaikisen.co.jp/simatabi/cruiser/99/ (2021.7.5閲覧)

[3]JR西日本, せとうちパレットプロジェクト『STU48メンバーが行く、 「SEA SPICA(シー スピカ)」 造船レポート! Vol.1』, https://www.setouchi-palette.jp/cruise/seaspica01 (2021.7.5閲覧)

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